1クラスに多動の児童(生徒)が在籍しています。どのように対応すればよいでしょうか(教師)

授業中に歩いたり、突然大きな声をだすことがあり授業に集中できません。
どのように対応すればよいでしょうか(教師)多動の誘発要素は、次の4つに大別されます。

  1. 自分の欲求を伝えるため(欲求)
  2. 他者からの注目を得るため(注目獲得)
  3. 難しい課題や嫌なことから逃げるための(回避)
  4. 感覚刺激を得るため(自己刺激)

その他、発達障がいを持つ子どもたちの多くは、五感が極度に敏感または、鈍麻な特性を持っていることがあります。
面談では、詳細をお聞きし、誘発・終息要因を見極め、対応方法をご提案します。

2合理的配慮に基づく、支援・指導画書の作成について(教師)

  法律が施行されて間もないこともあり、各市町村で対応に格差があるのが現状です。
まずは、在籍の教育委員会の計画書に基づき対応する必要があります。
本人の努力では改善できない事柄が、障がいであり社会的障壁です。
支援があって初めて、対象の生徒(児童)が、他の生徒(児童)と同じスタートラインに付けることが支援です。
逆に、必要以上に、支援することは、本人の自立を妨げることになります。
本人の気持ちを大切にしつつ、保護者とよく話し合い決定してくことが重要です。
いずれにせよ、担任一人の責任ではなく、本人・保護者・養護教員・スクールカウンセラー・支援学級の教員と一緒にチームとして支援内容を検討していくことが必要です。具体的な事例は国立特別支援教育総合研究所HP(http://inclusive.nise.go.jp/)をご参考にして下さい。
マンツーマンなら、対応可能な支援も、実際の授業では、先生一人に対し児童(生徒)20~30人では支援が困難なことが多々あります。
面談では、先生の日々の現状をお聞きし、具体的な支援策をご提案します。

3 ADHDの診断を受けています。すぐに物を無くしてしまい、忘れ物が多く、学校で注意されることが続き、最近では学習意欲もなくなり、本人も悩んでいるようです(保護者)

忘れ物を注意するだけでは、お子様にとって失敗を指摘されただけです。
まずは、担任の先生に、お子様がADHDであることを伝えて下さい。
保護者の方からの、お話のみでは不安な際には、養護教員・スクールカウンセラーに説明を依頼する。
または、主治医からの意見書を学校に提出する方法もあります。
決して怠惰な思いで、この様な結果になった訳ではないことを伝えてください。
かと言って、忘れ物をして良い訳ではありません。忘れ物を減らすことが必要です。発達障がいを持つお子様には、他のお子様にない社会環境に対する特別なニーズがあります。
例えば、すぐに、集中力がなくなり他の物に興味がいってしまう。
聴覚が過敏で雑多な環境では先生の話が聞き取れない。
書字障がいがあり時間内にメモを取ることが困難などです。
面談では、忘れ物をした時ではなく、忘れ物をしなかった時は、なぜしなかったのか等に注視して、お子様の特別なニーズを把握し、忘れ物を減らすためのご提案します。

4話すのが苦手で、上手く状況や考えを伝えられず、本人も歯がゆい思いをしているようです。どのように対話すればよいのでしょうか(教師・保護者)

  まずは、できる限り静かな環境で話を聞くようにしてください。
「いつ」「だれが」「どこで」「なにを」「どうした」(5W1H)かを、本人のペースで問いかけて下さい。
また、漠然とした質問ではなく、具体的かつ選択肢を与えるような質問方法も有効です。
言いたいことが言語化できたら、大人が代弁し、お子様自身に復唱してもらうことでコミュニケーションスキルが育まれ、信頼関係がより深まるはずです。
面談では、お子様が、聴覚優位か視覚優位なのか、どの様な情報収集能力に優れているかを確認します。
更に、どんな環境が、整えば言いたいことがスムーズに伝えられるかをご提案します。

5こだわりが強く、クラスではいつも、わが子が悪者になってしまいます。担任の先生とどのようにお話しを進めたらよいでしょうか(保護者)

発達障がいを持つお子様の中には、その場に応じた臨機応変な対応が困難な時があります。
これは、感情を上手くコントロールする力が弱いこと。
更に、自身の言動が、他者にどう影響するのか共感する能力が弱いためです。
この様な特性のお子様に、「相手の気持ちになって考えなさい」というような指導方法では、更に、お子様を困惑させ、信頼関係を損ねます。
なぜなら、お子様自身は、そのような対応が正しいとさえ、考えていることもあるからです。
本人としては、正しい行動をしているにも関わらず、周りから一斉に叱責され、パニックになり、時として、手を出してしまうことがあるかもしれません。

  1. お子様が、どんな場面でこだわりを見せるか把握
  2. その時の、お子様の気持ちや考えを聞く(本件とは全く違うことを話すこともありますが、否定せず、どの様に現状を理解しているかを確認します)
  3. 周りとの乖離を埋め、情報を共有 
  4. 適切な方法を伝える。そうすることのメリットを伝える。
  5. できたら具体的にほめる(正の強化)

パニックになりやすりお子様は、話を聞く前にクールダウン出来るよう事前に保健室などセーフティーゾーンを決めておくことも必要です。
お子様にとって自分を認めてくれる人がいることによって、行動が変化していき、適切な行動が取れるようになっていきます。
面談では、お子様の行動パターンを理解し、穏やかに学校生活が過ごせるようご提案いたします。

6定期的に通院していますが、毎回、医師に現状をお伝えするだけで、具体的なアドバイスがなく、最後に次回予約をするのみです。親として何をしたらよいでしょうか(保護者)

  発達障がいを含む自閉症スペクトルを外科的に完治させるのは、残念ながら、今日の医学ではできません。
しかし、早期に療育を受けることはお子様の将来に取りとても重要です。
2012年から放課後等ディーサービスで療育を受けることが出来るようになりました。
地域格差もあり施設も様々でが、医療機関以外にもディーサービスや感覚統合施設など、お子様にあった療育が受けられる施設を利用しましょう。
面談では現状をお聞きし、中・長期的にどんな支援が必要か、お子様の将来を考え、お母様が、ご家庭でできる支援方法をご提案します。

『感覚統合療法施設』


 感覚統合療法は、AJAyres(米)に考案され、1980年代に日本に導入されました。

7読み書き障がい(ディスレクシア)があり、学校の授業についていけず、困っています。どのように学習すればよいでしょうか(保護者)

文字を認識し書くまでのプロセスは『文字を見る→文字を記憶する→文字の意味を理解する→文字を書く』です。
読み書き障がいを持つお子様の場合、脳の不均衡により視覚認識能力や音韻能力に誤作動があると考えられています。
視覚認識能力強化のためには、文節ごとに区切りを入れる。助詞をマーキングする。
音韻能力強化のためには、単語を逆から発音できるようにする練習方法がありますが、どの方法も反復練習が必要で時間がかかります。
読み書きが困難なお子様の場合、漢字や文章が増えはじめる小学校3年生くらいから、よりストレスを感じます。
勉強が嫌いになる前に支援をはじめましょう。
国公立の学校では、合理的配慮の義務化により、学校で、PCなどのデジタルツールを利用することも可能です。
しかし、教育関係者から、デジタルツールを校内で使用することに対し「特別扱い・学習のさまたげになる」という声を時折お聞きします。
そもそも、支援がなければ読み書きが困難で、学ぶことができないお子様が、デジタルツールを活用するのです。
また、PCの使用が認められても、クラスメートと異なったツールを使用することで本人の自尊心を傷つける可能性があります。
先生と情報を共有し、お子様に適した学習ツールを検討してく必要があります。

*事例は障がい名が同じであっても、年齢や環境・療育履歴により支援方法はことなります。
あくまでも、過去のご相談内容を要約したものです。